ふみサロ 12月課題 『生かされていることに感謝』

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課題本から受けたインスピレーションを基に800文字のエッセイを執筆して、月一でセミナーと課題作品の合評会をします。

12月の課題図書
『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』
西岡 壱誠 (著)

生かされていることに感謝

阪神淡路大震災から、もうすぐ30年。
当時、私は神戸へ通う大学生だった。

あと1時間、発生が遅かったら…
巻き込まれていたのかもしれない。

なぜ、生かされている理由がわからず、
20代は、毎日が辛くて苦しんでいた。

28歳のとき
人生をリセットしたいと願っていたら、
ボラバイトの新聞記事が目に止まった。

ボラバイトとは、ボランティアとアルバイトを掛け合わせたもの。
人手不足の農家で働いて、食事と住まいを用意してもらえてお給料がもらえる。

早速、検索をしてみた。
奄美の沖永良部島の菊農家さんが、家族で楽しく農業をしているとコメントがあった。
すぐに問い合わせをして、3ヶ月間行くことにした。

2002年10月、飛行機で初めて沖永良部島へ行った。
島の上空に差し掛かると、コバルトブルーの海が見え、知らない場所へ来たんだという実感が湧いた。

空港には、菊農家さんのお母さんが迎えに来てくれていた。
お母さんは気さくな方で、ご家族は、お父さんと役所勤めの次女さん。
近所には、長女さん家族も住んでいて、協力しあって農業をしていた。

農家は忙しい。
あちこちに広い畑があり、忙しいお母さんに代わって、私が夕食を作る機会が多く、作るたびに「美味しい」と喜んでもらえた。

島の赤土、きれいな海、新鮮な空気、やさしいご家族の愛情のおかげで、どん底だった自己肯定感が上がり始めた。

1ヶ月が経過したとき
長女さんのお舅さんが入院先で危篤になった。
看護師の長女さんの提案で、お舅さんを自宅で看取ることになった。

救急車でご家族と一緒に自宅へ戻ってきたお舅さんは、1時間後、静かに旅立った。
長女さんがやさしくお舅さんの脈を取って確認した。

初めて、人の死に立ち会った。静かなものだった。
そして「人は生かされている」と気付いた。

私は、阪神淡路大震災に巻き込まれずに生かされている。
そのことに感謝した。

2024年後半は、神戸へ出かけることが多かった。
子育て、仕事に追われて、いつの間にか心の奥底に追いやられた「感謝の心」を、神戸へ行くたびに少しずつ取り戻したのだろう。

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